日本酒用語解説
あ 行
圧搾(あっさく)
圧搾(あっさく)は醪(もろみ)を酒と酒粕に分離する過程。上槽(じょうそう)などとも呼ぶ。現状は、自動圧縮濾過機などをの機械を使ってしぼられることが多いが、酒造りの手法として木綿の酒袋に醪を入れて、圧力をかけず絞ったりする「袋吊り(ふくろづり)」などの手法もあります。
参照=上槽
アル添(あるてん)
アルコール添加の略語。純米酒に米以外を副原料とした蒸留(じょうりゅう)エチルアルコールを入れること(辛口に仕上げることが多い)。また、醸造アルコール添加された日本酒のこと。原料は、サトウキビ、トウモロコシやサツマイモなど、海外からアルコールを輸入し、国内で蒸留精製したものを使うこともあります。アルコール添加された日本酒は、普通酒、本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒などと呼ばれます(「純米」とはついていません)。アルコール添加ができる蒸留エチルアルコールは法律などで他の副原料を含め日本酒の主原料である米(米麹を含む)の重量の100分の50以下、白米の年間使用1,000kgにつき280L(アルコール分100度に換算したもの)と制限されています。
一麹・二酛・三造り(いちさく・にもと・さんつくり)
伝統的な美味しい日本酒ができる工法で何が大切かを表した酒蔵の言葉。酒造りで製麹(せいさく)=麹(こうじ)づくりが一番大切ということを表しています。
男酒・女酒(おとこざけ・おんなざけ)
酒の味の種類によって、性別にわけた昔からの酒の分類方法。男酒(おとこざけ)は「仕込み水」に硬水を使ったもので、女酒は軟水を使ったものです。マグネシウム・カルシウムイオンなどミネラル分の多い硬水を仕込み水に使うと、やや酸味の強い辛口酒ができ、これを男酒といいます。また男酒は新酒の間は舌触りが荒々しいという特徴もあります(貯蔵により丸みがでてきます)。女酒は(おんなざけ)ミネラル分の少ない軟水を用い、比較的酸の少ない甘口酒のことです。新酒の間でも線が細い、やさしい酒質で飲みやすいのが特徴です。
澱(おり)
醪(もろみ)を搾(しぼ)った後の日本酒は白く濁っていて、数日間すると澱(おり)という沈殿物ができます。おりの成分は、デンプン、蛋白質、清酒酵母、酵素類、繊維質などですが、放置すると香や味などの劣化がおきることがあります。
澱引き(おりびき)
「蒸米・麹・仕込み水」が醪(もろみ)へと変わり、上槽(じょうそう)で搾り(しぼり)あがったお酒を数日間寝かせ、不純物(澱)を沈殿させ、清澄(せいちょう)した上澄みをとります。この作業を澱引き(おりびき)といいます。さらに、澱は濾過によってもとり除くことができます。
か 行
活性にごり原酒(かっせいにごりげんしゅ)
圧縮機にかけず、荒いフィルターでもろみをこしたお酒。白く濁っていて、もろみの味わいを感じることができ、こってりとしたものに相性がいいお酒です。
枯らし(からし)
酒造りの原料となる生産農家から買い入れた米は精米され、その後約1ヶ月ぐらい寝かせられます。この精米された米を寝かせることを「枯らし(からし)」といいます。精米が終わると、米は摩擦による熱でもろく溶けやすくなっています。すぐにお酒造りに使うとお米自体が割れたりして心白(しんぱく)部分がすぐにでたりして、美味しいお酒ができません。ですから、この「枯らし」期間が必要になります。
生酒(きざけ)
一切火入れ(加熱処理)をしない日本酒。通常日本酒では2回火入れを行い、熱によって麹からかくる酵素の動き抑えて品質を安定します。また、ビン詰めする前に一回火入れされた酒を「生詰め酒(なまづめしゅ)」、ビン詰めした後に一回火入れされた酒を「生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)」といいます。火入れ(加熱)していなければ、純米酒でも醸造用アルコールを加えた本醸造酒などでも、生酒になります。
生酛(きもと)
冬の寒い時期に、「蒸米、米麹、仕込み水」を混ぜ、力強いお酒にするため、約1ヶ月天然の乳酸菌が育ち、酒母(しゅぼ)をつくる製造方法。生酛(きもと)造り・山廃(山卸廃止酛)は生酛系酒母造りといわれています。現在の日本の主流「速醸酛」に対し、安定的にこの生酛系の酒造りを行うことは難しいので、現在これを行っている蔵元は全国でも十件以下となっています。
原酒(げんしゅ)
できあがった清酒のアルコールに対して、加水調整がしない酒のことです。つまり加水していなければ、醸造用アルコールを加えた本醸造酒でも、原酒になります。
酵母(こうぼ)
発酵食品などにつかう微生物(真菌類)の一つ。日本酒の製造に使われる酵母(こうぼ)は清酒酵母と呼ばれています。明治39(1906)年に日本醸造協会ができると、優秀な酵母を純粋培養して(協会酵母)蔵元に頒布するようになり、それまでの日本古来の強い酒母(しゅぼ)をつくる「生酛(きもと)系酛」から「速醸酛(そくじょうもと)」というに乳酸酵母を加える酒母造りが主流となりました。酒造りは、どんなお酒を造りたいかを蔵元(くらもと)と杜氏(とうじ)が相談して、どんな酵母で酒母を造るかを決めています。現在では、協会酵母以上に、県単位で酵母が開発され様々な酵母があります。
米(こめ)
日本酒の原料は「米・麹・仕込み水」なります。その中でも米は変化を続けながら日本酒へと変わって行きます。
①生産農家からの買い入れ>>精米>>枯らし>>洗米>>浸漬(しんせき)>>蒸米(じょうまい)
②蒸米は麹菌と混ざり合い「麹(こうじ)」に
③麹に蒸米と水を加え「酒母(しゅぼ)・酛(もと)」に(速醸酛「そくじょうもと」の場合は酵母を投入)
④酒母に蒸米、麹、仕込み水が加えられ「醪(もろみ)」に
醪を搾ると「日本酒」になります。
米麹(こめこうじ)
米麹(こめこうじ)は米にカビの一種である麹菌を繁殖させたもので、日本酒の原料となる麹菌のことです。日本酒の製造では、黄麹菌(アスペルギルス・オリゼー群)が使われることが多く、この黄麹菌は味噌、醤油、みりん、甘酒などでも使われています。
さ 行
酒母(しゅぼ)
「蒸米・麹・仕込み水」をまぜあわせた「酒のもと」のこと。酒母(しゅぼ)を造る最初の目的は雑菌を排除する乳酸を増やし、目的にあったお酒を造り出すための「酒のもと」を造ることです。これを醪(もろみ)タンクに移し「蒸米・麹・仕込み水」を3回に分け加えられお酒が仕込まれます。醪タンクの中では酒母が追加で仕込まれた「蒸米・麹・仕込み水」を醪に変えていきます。麹菌が糖化酵素を生成して米をデンプンに変える(糖化)と酵母は糖分をアルコールに変える発酵が同時に行われます。また、酒母は酛(モト)や酒母麹とも呼ばれます。
純米酒(じゅんまいしゅ)
「米、米麹、仕込み水」だけを原料として造られた酒です。「純米(じゅんまい)吟醸」や「純米大吟醸」など、純米とついたものは同じく「米、米麹、仕込み水」だけで造られたお酒です。また、現在では、純米酒に使用する米の精米歩合は規定されなくなっています。
「吟醸酒」や「本醸造酒」は、純米酒に醸造用アルコール(白米の重量に対して10%以下)を添加したお酒です。
純米大吟醸酒(じゅんまいだいぎんじょうしゅ)
酒の雑味を少なくするためにお米を50%以下で精米し(精米歩合「せいまいぶあい」50%)、「米、麹、仕込み水」だけで造られた日本酒のことを純米大吟醸酒(じゅんまいぎんじょうしゅ)といいます。10度前後で長時間かけて発酵させ、果実のような特有の「吟醸香」を持つように醸造されます。
また、この純米大吟醸の味わいを、さらに楽しむため『饗之光』では「活性にごり原酒」「槽汲み(ふなぐみ)」「袋吊り(ふくろづり)」などの個性豊かな日本酒を造っています。
上槽(じょうそう)
上槽(じょうそう)とは「蒸米・麹・仕込み水」を仕込み、できあがったどろどろの醪(もろみ)を、酒と酒として溶けなかった米を酒粕に分ける過程。「搾り」「あげふね」「槽掛け(ふながけ)」などとも呼ばれています。現在では自動圧縮機などで行うことも多が、昔ながらの木製の搾り機「槽(ふね)」をつかったり、袋吊りのように木綿の袋でゆっく自然にしたたらせて搾るもの、醪タンクの槽口(ふなぐち)からたれるものをビンに直接受けていくなどさまざまな手法があります。
同意語=あげふね、搾り
醸造(じょうぞう)
微生物の発酵作用を利用して、アルコール飲料(酒類)、調味料や液状の食品などを製造すること。
日本酒においては、かつては醸造(じょうぞう)は麹(こうじ)を用いて発酵させる作業のことを表していました。
醸造(じょうぞう)アルコール
醸造(じょうぞう)アルコールとは、米以外を副原料として日本酒に使われる蒸留(じょうりゅう)アルコール。原料は、サトウキビ、トウモロコシやサツマイモなどで、原料を発酵させ蒸留したエチルアルコールです。使用量は法律などで他の副原料を含め日本酒の主原料である米(米麹を含む)の重量の100分の50以下、白米の年間使用1,000kgにつき280L(アルコール分100度に換算したもの)と制限されています。海外からアルコールを輸入し、蒸留精製したものを使うこともあります。国内で蒸留日本国内で流通する市販日本酒の80%以上はアコールを添加した日本酒です。
浸漬(しんせき)
浸漬(しんせき)は洗米が終わった米を水に浸す作業です。その後、米を蒸し外堅内柔の蒸米(じょうまい・むしごめ)をつくるために、米を約80%ぐらいの吸水率にするために行います。
心白(しんぱく)
お米の中心部分。デンプンが不規則に集まり白く濁った色になっています。お酒造りで一番重要な部分で、この心白を残しながら、どう精米するかが技術の見せどころになります。
精米(せいまい)
精米(せいまい)はお米を酒造用にするため、食用白米と比較してより多く米を削る作業です。米の中心にある心白(しんぱく)を中心として心白に均一に近づける高度な精米(せいまい)が行われます。デンプンである心白は麹によってブドウ糖へと変わり、ブドウ糖は酵母(こうぼ)によってアルコールへと変わっていきます。それに対し、白米部分にあるタンパク質、ビタミン、脂肪などは麹や酵母を活性化し、製造する酒質の調和が崩れるので、それを取り去るためです。
精米歩合(せいまいぶあい)
籾殻(もみがら)をとった玄米から表面を削り、残った米の割合を%で表したもの。 日本酒の原料となる米は、食用に使う白米より削ったものを原料とします。お酒の原料とする精米はお米の中心にあるお米の心白(シンパク)を残しながら行うので難しい技術といわれています。逆に、お米を削った部分は「精白率」という名称で表されます。精白率40%は精米歩合60%と同じ割合を表しています。
精米割合で日本酒は下記のように分けられています。
・大吟醸酒 (精米歩合50%以下)・吟醸酒・特別純米酒(精米歩合60%以下)
洗米(せんまい)
精米後、枯らしを経て、米の表面に残ったヌカを取り除くために洗米をします。お洗米が終わると、お米を水につける浸漬(しんせき)へと進み、その後お米を蒸す蒸米へと進みます。ヌカが残るとお酒の味が変わるので大切な作業で「第二の精米」ともいわれている。また、表面を削りとられたお米は水を吸い込みやすいので、スピードが必要とされています。
速醸酛(そくじょうもと)
速醸酛(そくじょうもと)は天然による乳酸菌の発生を待たず、「蒸米、米麹、仕込み水」に乳酸酵母を初期に添加する酒母造り製造方法。これにより酒造りに不要な雑菌の抑制・淘汰を行い酒母が造られます。江田鎌治郎によって明治の末期(1900年頃)に考案され、日本醸造協会が乳酸酵母を蔵元に頒布することで広まりました。現状、日本酒造りの主流となっています。
た 行
杜氏(とうじ)
酒造りの製造責任者を杜氏(とうじ)と呼ぶ。日本酒製造会社の責任者である蔵元(くらもと)と話をして、蔵元の求める酒を商品戦略にのった造っていきます。酒造工程では現場のスタッフである蔵人(くらびと)に指示をだし酒造りを行います。原材料・微生物の管理を行いながら工程を進め、味や香りなどを造りだしていきます。
床麹法(とここうじほう)
床麹法(とここうじほう)は麹造りをするときの3つある手法の一つ。麹室(こうじむろ)という外気と遮断した専用部屋に床を造り麹菌をつくる。麹造りの時に、麹室は温度30℃~40℃・湿度約60%に保たれ、種切り(蒸し米を大きな台のうえに広げ、麹菌を振りかける)が行なわれ、その後切り返し(麹の発熱により、米が乾燥し、堅くなるので、混ぜ合わせ、大きな山にして、熱を冷ます)をおこなう。この麹室にある大きな台のことを麹床(こうじどこ)とよび、製法名が名付けられている。他に麹造りには、小規模にこれを行う麹箱(こうじばこ)法や、熱を帯びてきた米麹を小分けにて、箱に詰める箱状の道具に分てつめ麹蓋(こうじぶた)法などがある。
な 行
生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)
通常日本酒は品質を安定するため2回の火入れを行い、一回も火入れを行っていない酒だけが生酒になります。ビン詰め後に火入れをした日本酒は「生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)」と呼びます。ビン詰めする前に一回だけ火入れされた酒は「生詰め酒(なまづめしゅ)」と呼ばれています。
生詰め酒(なまづめしゅ)
通常の日本酒は品質を安定するため2回の火入れ(加熱処理)を行い、一回も火入れを行っていない酒だけが生酒になります。ビン詰めする前に一回だけ火入れされた酒は「生詰め酒(なまづめしゅ)」と呼びます。ビン詰め後に火入れをした日本酒は「生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)」と呼ばれています。
日本酒度(にほんしゅど)
日本酒度(にほんしゅど)は日本酒の甘さや辛さを示す目安となる指標。お酒の中にどれくらい糖分が入っているかを比重で表した数値で、マイナスになれば甘口、プラスになれば辛口となる(0以下だと甘く、+5以上だと辛口の酒だとされている)ただし、糖分だけでなく、アルコール度数や香り、酸度、アミノ酸度などでも数値は変化するので、あくまでも目安の数値です。
は 行
火入れ(ひいれ)
日本酒製造の最後の段階で、おいしい状態でとどめておくための加熱処理方法。酒母を搾った(酒粕とお酒を分ける)後や、ビンづめした後などに、お湯をくぐらせることで通常2回の加熱処理をおこないます。これは、微生物を殺菌し、日本酒の中に残ったプロテアーゼやアミラーゼなど酵素の動きをとめて保存性を高めるためです。
また、火入れを行わなかったり、1回しか行わないお酒に関しては下記のような名称が付いています。
・火入れを一度も行わないお酒:生酒
・醪搾り後に火入れを行ったお酒(火入れ1回):生詰め酒
・ビン詰め後に火入れを行ったお酒(火入れ1回):生貯蔵酒
冷や(ひや)
日本酒でいう「冷や(ひや)」は常温の状態で飲むお酒のことです。冷たくして飲むお酒は冷酒といいます。常温保存といっても、なるべく温度変化の少ない直射日光や紫外線があたらない冷暗所のことです。夏場の高温がつづく場合は常温とはいいません。
袋吊り(ふくろつり)
醪(モロミ)を入れた木綿の酒袋を吊し、圧力を掛けずに、ゆっく自然にしたたらせて搾ったお酒。
手間がかかる作業だが、雑味の無い美味しいお酒ができあがります。
袋吊りで搾った酒は「雫酒(しずくざけ)」と呼ばれることもあり、鑑評会の出品用だけに作る酒蔵も多くあります。
袋吊りで搾られたお酒は、機械を使って搾ったものと比較して、価格は倍以上になりますが、その価値は十分にあります。
槽掛け(ふながけ)
槽掛け(ふながけ)は「蒸米、米麹、仕込み水」を発酵させ、できがったどろどろの醪(もろみ)を、酒と酒粕に分ける過程。
槽汲み(ふなくみ)
槽口(ふなくち)から出てくる酒をビンに直接受けて、そもままビン詰めしたお酒が槽汲み(ふなぐみ)酒です。槽口は醪(もろみ)をしぼり、酒と酒粕に分ける道具である槽(ふね)の酒がでてくる口です。ここから出た酒は炭酸ガスが残り、微発泡となっていて口当たりのいいお酒となっています。
本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)
「米・米麹・水だけ」で造られた精米歩合70%の純米酒に(使用する米の重量10%まで)醸造(じょうぞう)アルコールを加えた日本酒(辛口に仕上げられる)。醸造アルコールとはサトウキビ、トウモロコシ、サツマイモなどの原料を発酵させ、その後に蒸留したものです。
特別本醸造酒・吟醸酒=精米歩合60%以下
ま 行
蒸し(むし)
米を浸漬させ適量の水を含んだ米を蒸す過程。蒸すことによって、お米の外側を硬く、内側を柔らかくします。蒸しは米のなかのデンプンを糊状(アルファ化)して、麹菌が入りやすいように、そして麹菌が米を消化分解しやすくするためです。また、米を殺菌して次に振りかける麹菌以外の菌を無くすためです。また、蒸された米のことを蒸米(じょうまい)ともいいます。
酛(もと)
酛(もと)は「蒸米・麹・仕込み水」をまぜあわせてつくる「酒のもと」。作り方によって「蒸米・麹・仕込み水」に酵母を入れる速醸酛(そくじょうもと)、「蒸米・麹・仕込み水」から自然に酛ができるのを待つ生酛(きもと)などがある。酛(もと)は酒母ともいわれています。
醪(もろみ)
「蒸米・麹・仕込み水」が日本酒になる前の発酵をしているどろどろの液体を醪(もろみ)といいます。「酒のもと」である酒母に「蒸米・麹・仕込み水」を入れて発酵タンクなどで発酵を進めると醪になります。この醪をそのままに商品化したものが「どぶろく」です。また、醤油や焼酎などでも原料が発酵した状態を醪といいます。
醪タンク(もろみタンク)
醪(もろみ)タンクは、酒造りをするタンクです。「蒸米・麹・仕込み水」をまぜあわせた「酒のもと」である酒母に、「蒸米・麹・仕込み水」をくわえ醪(もろみ:日本酒になる前の発酵中の液体)づくりが始まります。加えられる「蒸米・麹・仕込み水」は一度に全量を入れるのではなく、酒母の発酵がゆっくりと進行するようにだんだんと量を多くして3回(4回の場合もある)に分けて加えられます。タンクの中で所定の時間がたつとアルコール度数は20%ぐらいまであがり、醪ができあがります。この醪を酒と酒粕に分けることで日本酒ができあがります。
や 行
山廃酛(やまはいもと)
山卸廃止酛の略語(山卸を廃止した酛づくり)。生酛系酒母造りのひとつ。昔の酒母造りは、冬の寒い時期に何人もかけて蒸米と麹と仕込み水を楷(かい)という木製の竿で何時間もかけて米をすりおろす「酛摺(もとずり)山卸」というつらい作業です。これは、6~8度の温度に雑菌を排除する強い乳酸菌を育成するためでした。明治42(1909)年に麹と仕込み水を混ぜて酵素が溶かし出たところへ蒸米を入れても同じような乳酸菌が発生するという発見があり、徐々に「酛摺山卸」自体が行われなくなり、新しい仕込み型にかわりました。そこで山卸廃止酛=山廃酛という言葉がうまれたのです。
山ぶどう
日本に古くから自生している野生の赤紫色のブドウ(「古事記」にも表記がある)。果実自体は1.0~1.2cmと小ぶりで、皮が厚く種も大きい。わずかな果汁しか取れないのが特徴だが、「自生していた」という日本の風土に合っているという特徴を利用し、ワイン製造に適した品種と掛け合わせた、日本独特のワイン製造に適した、小公子やヤマ・ソービニオンなどの品種が作り出された。
ら 行
濾過(ろか)
澱引き(おりびき)が終わった酒(上澄み・原酒)は、微細な固形物や若干の色がつき、雑味成分も残っています。濾過(ろか)は濾過機や各種フィルターをとおしその色や雑味成分を取り除く作業です。
醪(もろみ)を酒と酒粕に分離が最初の濾過ですが、醪の濾過は加圧・圧搾しないと液部が完全にろ過されないので、ろ過とは言わず「あげふね」「上槽(ジョウソウ)」または「しぼり」と言われています。